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nmsの現場から Vol.3 千葉テック

nmsの現場から
―千葉テックではどんな業務が行われているんですか?
携帯やパソコンのバッテリーに内蔵されているポリスイッチという部品があるんですが、千葉テックではその部品の検査を行っています。ポリスイッチというのはつまり過電流素子防止装置のことなんですが、過剰な電流が流れるのを防ぐ部品で、これがないとバッテリーが発熱して燃えてしまいます。傷や汚れ、曲がりなどの変形がないか、ハンダがしっかり固定されているかなどを検査しています。一部は拡大鏡を使っていますが、基本的にはすべて目視で検査します。

千葉テックの業務
傷や汚れ、変形などをチェック。
1時間に2000個の速さ!
―目視ということは人が肉眼で検査するということですね。どれぐらいの数を検査するんですか?
1人が1時間に約2000個の部品を検査します。曲がりだけをチェックする程度の簡易検査だと1時間に約8000個になります。
―1時間に2000個ですか!そこまでこなせるようになるまでどれぐらいの時間がかかるんですか?
最初1ヶ月ぐらいで300個程度を見られるようになります。2000個の検査ができるようになるには半年ぐらいかかりますね。不良品を除去するのが目的ですから、教育期間中にはまずどれが不良品かを認識できるようにします。不良品を素早く見分けられるようになれば、動作はトレーニングによってだんだん上達していきますから。それができるようになったら実際の検査を行ってみて、それをベテランがチェックします。ここでOKということになったらはじめて実際の検査業務に入ります。
―人によって技術の差というものはあるんですか。
1時間に2000個といっても、もちろん人によって多少のバラつきはあります。どれぐらいの数をこなせるかを生産性と呼んでいますが、生産性を上げれば当然、不良品を見逃す率も上がってきます。ところが、生産性が高くて不良見逃しもまったくないというエキスパートと呼べる人が何人かいます。そういう人が検査したものを再検査しても、不良品の見逃しはゼロですね。
―最近は、どんどん製品のサイクルが早くなっていますが、それに比例して検査も忙しくなるのでしょうか?
検査という工程を考えてみると、部品の品質が高ければ検査はいらなくなるわけですね。ですから生産ラインのほうでできるだけ品質を上げていけば、検査を簡略化することが可能で、それだけコストもかからなくなるわけです。
けれど、たとえば携帯電話のように新製品が次々に出てくるとなると、設計してデザインを起こしてすぐに量産にかからなければならないので、試作段階でつくり込んで品質を高めていく余裕がなくなってしまいます。そうなると不具合がどうしても出やすくなってきますね。メーカーとしては検査にかかるコストを削減していきたいところでしょうが、今のような状況だと検査をなくすことはできないですね。
―検査によって製品の品質を保っているということですね。
そうですね。品質よりコストを重視するなら全数検査ではなく抜き取り検査にして検査コストを下げるということもできますが、日本の製品の場合はやはり品質を重視しますから。
とくに高品質ということを謳ったような製品の場合は、もともとしっかりつくり込まれた部品であっても、市場での信頼度をより高めるためにすべて全数検査を行うことになります。メイドインジャパンの製品が高品質で信頼度が高いのは、こういう綿密なモノづくりの結果なんですね。同じ部品を使っていても、海外の製品では検査コストを抑えるために全数検査ではなく抜き取り検査でOKというケースも多く、品質を重視するか価格戦略をとるかという違いがこういう部分に現れてきます。

拡大鏡を使った検査。
拡大鏡を使った検査。
―それほど綿密な検査を行うなら、検査用の機械を開発したほうがより高精度の検査ができてコストも抑えられるということはないですか?
実際、あるメーカーでビジュアル外観装置という検査機械の開発が進められているんですが、難しいですね。傷があるかないか、曲がっているかいないかというはっきりした違いは見分けられるんですが、ほんのちょっとした傷があったり、微妙な曲がりがあったとしても性能的にはOKというものは見分けられないんですね。機械は使えるものまで不良品として除去してしまうんですよ。
不良限度というものがあって、傷の程度によってここまでなら良品、これ以上だとサビが出て性能に影響があるから不良品というように、微妙なレベルが設定されているんですが、これは人間の目じゃないと見分けられません。機械にはその線引きができないんです。
―機械が見分けられないものを、人間は1時間に2000個も見分けられるんですね。
そうですね。人間の感覚は非常に優れたものだと思います。とくに日本人の、そうした微妙なニュアンスを見分ける能力というのは非常にレベルが高いですね。終業のチャイムが鳴ったとき、日本人はキリのいいところまでやってから席を立ちますが、海外では途端に作業をストップします。そういう体質の違いのようなものもあると思いますね。このあたりに日本のものづくりの原点があるのだと思います。

検査の流れを確認。
検査の流れを確認。
―最後になりますが、千葉テックの強みはどのあたりにあるのでしょうか?
千葉テックというよりnmsの強みといっていいかもしれませんが、労務管理の手法だけではなく、製造工程のノウハウを持っていることが私たちの強みですね。千葉テックはテックの中でもいちばん古く、8年前からnmsのテックとして稼動しはじめたんですが、それ以前はお客様の構内に入って製造現場で作業を行っていました。ここで得たものづくりのノウハウが、テックの中で活かされています。テックでものづくりを行っているということ、それ自体が私たちの強みといえます。
(2007年6月時点)